ARDSの中にステロイドに反応する病態を見つける

呼吸

少し古いですが(初回投稿が全くUp to dateではないというツッコミは無しでお願いします・・・)、こちらの論文を読んでみました。

画像が豊富で、非常にわかりやすい論文でした。

Imaging of Acute Lung Injury. Radiol Clin N Am 2016;54:1119

やっかいな定義たち (ALI, ARDS, AIP, AFOP)

 Acute Respiratory Distress Syndrome (ARDS)の定義とは、4つの基準から成ります。

  • 1. 急性である(きっかけや症状の出現から1週間以内で起こる)
  • 2. 両側びまん性の両側性の陰影(胸水、無気肺、結節を除く)
  • 3. 心不全を除く
  • 4. 低酸素血症 (mild: 200<P/F≦300, moderate: 100<P/F≦200, severe: ≦100)

 ALIもARDSもそれぞれ臨床症候群の一種ですが、ALIとは、急性の両側性の陰影(胸水、無気肺、結節、心不全を除く)で、そのうちARDSの基準を満たさないもの、と誤解されていることがあるようです。

 ALIの定義とは、病理学的なDiffuse Alveolar Damage (DAD)と関連している症候群のこと、です。

 また、ARDS は必ずしもDADを伴いません。

 また、Acute Interstitial Pneumonia (AIP)とは、ARDSのうち、きっかけがはっきりしないもの、という定義のようです。こちらもDADとの関連が強いです。

 このあたりの定義(ALI, ARDS, AIP)は、DAD合併の有無(いずれもDADとイコールではない)と相まって混同しやすいです。

 さらに、Acute Fibrinous Organizing Pneumonia (AFOP)という概念も出現してきます・・・。もう勘弁してよ、って感じです。

 Organizing DAD(DADの中に部分的にOP)とAFOP (DADとOP双方の特徴を有するがどちらとも言えない)はほぼ同じことを言っているのでは?と思われました。

Treatableな疾病を見つけ出せ

 このreviewで最も興味深かったのは、

 DADにはsupportive careしかないのだから、

 ARDS mimickerを探し出し、

 治療可能な病気(心不全やシンプルに感染症)やステロイドに反応性の画像(器質化肺炎やOrganizing DADや好酸球性肺炎)を見つけよう、

という点でした。

Multilayer Framework

分類する上で重要なことは、まず明らかな誘因がある場合と無い場合で分ける、という点です。

誘因自体の分類としては、肺内か肺外かで分けられますが、

それぞれ、ステロイドに反応するかしないかについて画像などから推定することが求められます。

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